VOL.13 | STONE CASHMERE
2022.10.21
今回は、カシミヤニットの染色や加工をしている、富山県の染色屋さんによるストーン加工についてお話しします。
富山県は、日本海沿岸特有の降雨・降雪の多い気候であるため、全国有数の降水地帯です。特に、冬期間の降雪が多く、山岳部での積雪は雪のダムとなり、万年雪をいただく立山連峰からの水は真夏でも冷たい飲料水を供給してくれる自然の大貯水池として、豊富な水資源のもとになっています。
この雪解け水は山岳を一気に流れ落ちるため、全国の郡市と比べて水温差は著しく、夏でも15℃前後とかなり低温になっています。
その豊かな水と軽石によって、ATONのカシミヤのストーン加工は行われています。
加工に使用されるのはイタリア南部シチリア島のエトナ火山溶岩の軽石であり、約50万年前から活動しているエトナ火山の噴火で噴出され、ヨーロッパでは最高級品とされています。
このイタリア製の軽石は噴火の際に地下深部から上昇し、減圧することによってマグマに溶解していた水などの揮発成分が発泡したため多孔質となります。軽石の性状はガラス質で壊れやすく脆いです。
この柔らかくて、多孔質(小さな穴が無数)な軽石を大きなドラムに引き詰め、その中にカシミヤのニット製品を一緒に入れ、「ゴロン、ゴロン」と大地を揺るがす地滑りのような音をたてながら、時計回りと逆回りを数時間ゆっくりと加工を施します。
ドラムの中で回転しながら、無数にある小さな穴にカシミヤの小さな毛羽を取り除いていきます。
デニムなどの肉厚なコットンとは異なり、繊細なカシミヤ繊維に施すので柔らかいイタリア製の軽石が最適なのです。
この加工を施すことにより、桃の表面のような繊細な起毛の表面感になり、墨で染めたような少しラフ感のある3色のグレーのグラデーションを表現出来ました。
上質なカシミヤニットを、あえてドレスダウンさせてトレーナーのようにラフ感のある表情にしました。
STONE CASHMERE | CREWNECK SWEATER
COLOR | CHARCOAL GRAY / LIGHT GRAY / BLACK
SIZE | 02/S , 04/M , 06/L
PRICE | 55,000yen + tax
MATERIAL | CASHMERE 100%
MADE IN JAPAN
ネックが詰まったレギュラーシルエットのクルーネックニット。ユニセックスの展開の為、敢えてオーバーサイズで着てもよく、お好みのサイズを選ぶことができます。