VOL.14 | WASHED CASHMERE
2022.11.04
今回はウォッシュドカシミヤの生地の糸を紡績している、大阪府の泉大津市の工場についてお話しします。
大阪府の南部に位置する泉大津市とその周辺では、国産毛布の90%以上が生産されており、泉大津市は全国No.1の生産量を誇る‘日本一の毛布のまち’です。
明治19年(1886年)、茶道具の桐箱の紐を作っていた業者たちが集まり、初めて泉大津で日本製のウール生地が作られました。
当時羊毛はなかなか手に入らず、代わりに牛の毛を使って作りました。
短くて硬くかなりの苦労があり、「服地がダメなら、寝具に」と発想の転換をし、明治20年(1887年)に日本で初めての毛布が完成しました。
その苦労により、毛布の風合いの命である泉大津独自の起毛技術が発達し、後の毛布産地につながっていったそうです。
その泉大津の工場で、中央アジアの国(ギルギス)の有色のカシミヤ山羊の毛(約70%)とリサイクルカシミヤ(約30%)をオリジナルブレンド及び紡績しています。
紡績の工程で出来る、カシミヤの短い繊維のみを集め、染めていないカシミヤだけをリサイクルに使います。
他では様々に染められたカシミヤ製品をリサイクルで使用したりもしますが、ATONではナチュラルな色味を表現したく、オフ~茶色のリサイクルカシミヤだけをブレンドに使用しています。
ブレンドをするのは、全長約20mの重厚な鉄で出来た機械によって行います。
昔の国産の機械を何度もメンテナンスを繰り返し大切に扱っています。
最初にギルギスのカシミヤのワタと、リサイクルのワタを機械の入り口に入れます。
そのワタを鋭利な刀の拡散工程に入れ、2種類の異なるワタがブレンドされていきます。
何度も何度も同じ工程が続き、徐々に均一に色が整っていきます。
まだふんわりとした、厚みのあるシート状のミルクティーのような優しい色味がとても美しい工程です。
鉄の機械の工程の最後に糸紡ぎの準備(前紡)をされた太くて優しい色味の糸が出来上がります。
その後は糸を紡ぎます。
ゆっくり優しく糸に撚りをかけて撚糸していく工程です。
外側に撚りを強くかけながら、中心は余り撚りがかからないように撚糸します。
最後に糸が出来上がります。
泉大津市で出来たその糸を、岐阜県羽島市の機屋さんで織り上げた後、生地にラフ感を出す為に洗い上げを行い、完成です。
洗った際に、短いカシミヤ原料で毛布のような優しい膨らみを出したかった為です。
国内の毛布産業が海外に流れても、時を経て「服地がダメなら、寝具に」から「寝具がダメなら、服地に」になれば良いと思っています。
WASHED CASHMERE | BALMACAAN COAT
COLOR | LAW BEIGE / BLACK
SIZE | 02/S , 04/M , 06/L
PRICE | 160,000yen + tax
MATERIAL | CASHMERE 100%
MADE IN JAPAN
運針の広いハンドステッチで柔らかく仕上げています。裏地に使用している洗いのかかった柔らかいコットン素材が、立体的なシルエットをつくり出します。衿を立てて着ることもできます。
WASHED CASHMERE | OVERSIZED JACKET
COLOR | LAW BEIGE / BLACK
SIZE | 02/S , 04/M , 06/L
PRICE | 99,000yen + tax
MATERIAL | CASHMERE 100%
MADE IN JAPAN
少し長めに取った着丈と、太めに設計したアームホールによって、厚いニットを着ても中でごわつかず、コートのような感覚で着用いただけます。同素材のボトムとのセットアップで着用できます。
WASHED CASHMERE | WIDE TAPERED PANTS
COLOR | LAW BEIGE / BLACK
SIZE | 02/S , 04/M , 06/L
PRICE | 65,000yen + tax
MATERIAL | CASHMERE 100%
MADE IN JAPAN
ノンタックのパンツをウエストベルトごと摘んでリメイクした様なイメージでつくりました。裾に向かって、ワイドテーパードシルエットに仕上げています。裏地ではなく、表地と同じコットン素材を縫い込むことで、強度補強をしています。