ATON COLOR®
2024年春夏コレクション
【色】
今春夏のATONは、ある一冊の図鑑『素晴らしい自然シリーズ・鳥の世界』から色をインスパイアされました。
南米やアフリカなど、手付かずの大地にチカラ強く生きる生物が印象的で、海や川の水からくる色味ブルーグリーン、闇夜からくるグレーなどの豊かなグラデーションの中に、自然界に生息する動物・植物・昆虫からくる鮮やかなレッド・イエロー・ピンクのアイテムが点在しています。
深みのあるブルーは※『Huito』(ウィト)というアマゾン流域で自生している天然果実、
鮮やかな赤はハイビスカスという花から、抽出された染料をATON COLORのボタニカル染めで再現しました。
※『Huito』(ウィト)とは
ウィトはアカネ科の植物で、お菓子やドリンクとして食用としてもですが、果実には匂いがあり香水にもなっています。
成熟する前の果実の汁は、人の皮膚に塗ると化学反応を起こして濃い青色になる為、タトゥーなどに使われています。
【素材・染色加工】
素材や糸では、新しい技術を取り入れた染色や加工で、綺麗な糸や素材に対してヌケ感を持たせることに成功しました。
細番手コットンやナイロンなどを墨により奥行きのあるグレーに染色したり、長年こだわりの京都西陣地区の染工場さんと共に開発しているコットンやナイロンに対しての形態安定のシワ加工、群馬や山形でのシルク織物、インド棉花による強撚糸のジャージやニットの糸のバリエーションが中心となります。
【デザイン】
デザインでは、今シーズンはウィメンズは女性らしさを意識しつつ、フェミニンなデザインをメンズライクなジャージ素材で展開するジャージクチュールのスタイルを提案します。
またテクニックとしては今までの機能としてのタックとは異なり、余白部分などを畳んだりしストレートシルエットにリズムを付ける新しい生地の寄せ方をデザインに取り入れています。
メンズやユニでは新しいシルクやナイロンでフルアイテムを提案し、より充実したラインナップで展開いたします。
PALLETTE_1

PALLETTE_2

PALLETTE_3

PALLETTE_4

PALLETTE_5

PALLETTE_6

BOTANICAL DYE SERIES
NAME | マンゴスチン
SCIENTIFIC NAME | Garcinia mangostana
COLOR | BROWN
マンゴスチンは、フクギ属の常緑高木。果実は美味で「果物の女王」と称される。フクギ科ではもっとも利用されている種の一つ。

NAME | ウィト
SCIENTIFIC NAME | Huito
COLOR | NAVY
南米原産のジャグアフルーツの別名。ウィトはアカネ科の植物で、食用としてやタトゥーの染料として用いられ、果実は香水にも用いられる。

NAME | アスパラガス
SCIENTIFIC NAME | Asparagus officinalis
COLOR | WARM WHITE
アスパラガスは多年生草本の単子葉植物で、野菜として食用にされる。和名はオランダキジカクシ。クサスギカズラ属の別種を指してアスパラガスと呼ぶこともある

NAME | アルストロメリア
SCIENTIFIC NAME | Alstroemeria
COLOR | PINK
アルストロメリア属(Alstroemeria )は、単子葉植物の属の一つ。本属は南アメリカ原産で約50種が知られる。いずれもアンデス山脈の寒冷地に自生する。

NAME|バオバブ
SCIENTIFIC NAME | Adansonia
COLOR| BEIGE/BROWN/CAMEL
サバンナ地帯に多く分布する。幹は徳利のような形をしていて、中は空洞になることが多い。葉は幹の上部につき、乾季に落葉する。花は白色で大きい。果実はヘチマのように垂れ下がり、堅い。

NAME | アロカシア
SCIENTIFIC NAME | Alocasia odora
COLOR | GREEN
アロカシアは、サトイモ科クワズイモ属の常緑性多年草である。大きなものは傘にして人間も入れるほどの葉を持つ。大きな葉を持つ観葉植物としてもなじまれている。

NAME | ログウッド
SCIENTIFIC NAME | Haematoxylum campechianum
COLOR | NAVY
アカミノキは、マメ科ジャケツイバラ亜科の落葉低木である。原産はメキシコ及び中米の北部で、樹高は3-10m、黄色の花が総状花序につく。樹液は染料としてマヤ族が伝統的に利用し、その安全性によって現在も布や紙の染色に広く使用されている。

NAME|ハイビスカス
SCIENTIFIC NAME | Hibiscus
COLOR | RED
ハイビスカスは、アオイ目アオイ科の下位分類フヨウ属 Hibiscus のこと。また、そこに含まれる植物の総称。日本では、そのなかでも熱帯および亜熱帯性のいくつかの種がとくに「ハイビスカス」と呼ばれ、南国のイメージをまとった植物として広く親しまれている。

ATON COLOR®
服作りに関わるすべての工程には、長い時間をかけて培われ、職人達によって受け継がれてきた技術がある。効率化が優先される現代においてはしかし、その技術の素晴らしさは顧みられず、少しずつ失われようとしている。一度失われてしまえば、再生することは叶わない。だからこそ、今も日本に点在する小さなメーカーや工場が持つ技術を残し、伝えたい。そのために私たちは職人とともに仕事をし、新しいアイディアを試し、美しい服を作り続けている。
例えば、染色技術について。天然染料で染められた生地には色の奥行きがあり、私たちがボタニカルカラーと呼ぶ、複雑に折り重ねられたその色は、圧倒的な美しさを湛えて、人間の根源的な感性に訴える力を持っている。
Botanical Dye
自然界に存在する色は、層になっている。その中には、人間の視覚では認識できないものも含まれているが、“見えない色”こそが、美しい奥行きを生み出している。その考え方を天然染色に用いて、20年以上に及ぶ研究の成果として確立したのが、東京・千駄ケ谷にある〈シオンテック〉の創業者・菱川恵介氏だった。たとえ単色であったとしても、色を重ねて表現する。そのために、植物の花、葉、茎、樹皮、果皮、さらに鉱石などの原料がおよそ3000種ストックされている。さらに伊勢神宮内宮の榊や大峰山の笹など、世界中の多様な天然原料から抽出し、染色されたアーカイブは、数万種にも及ぶ。複数回の染色によって同じ色味を表現することは、まったく同じものが存在しない天然原料においては非常に難しい技術だが、〈シオンテック〉には、同じ色味を表現するためのレシピがデータ化されている。
Indigo
本来は県外には持ち出すことができない琉球藍。友禅の職人であった故・吉川慶一氏が沖縄での修行を重ね、初めて琉球藍を京都で染めることが許されたという。水瓶の上に町があると称されるほどの京都の美しい水によって染められるために、その藍は沖縄とはまた違う、モダンささえ感じさせる藍色になる。自然乾燥させた藍の葉を用いて染液を作り、醗酵させる。この工程を職人たちは「藍を建てる」と呼び、「藍の花」と呼ばれる赤みを帯びた泡を合図に、手染めしていく。黄色く染まった生地は酸素との結合によって、藍色へと変化する。その工程を繰り返し、濃度を高め、薄い順に「瓶覗き」「水色」「縹色」「納戸」「藍」「鐵紺」「勝色」など、48通りもの藍色が生み出されていく。吉川氏から受け継がれた技術によって、京都・亀岡では今も職人たちがその手を藍色に染めながら、一枚ずつ琉球藍の美しさを伝えている。
Logwood
かつて黒を表現するための染料は、ログウッドしか存在しなかった。それはナポレオンが纏ったウールのコートの黒であり、この希少なメキシコ産の樹木を取り合って戦争さえ起こったという。ログウッドの黒を、高密度に織り上げたリネンのハリや光沢を保ったまま染め上げるためには、ジッガー染色という原始的な技術で染めるしかない。埼玉県・羽生には140年あまり続くジッガー染色の染工場がある。ローラーに巻きつけたリネンの反物をもうひとつのローラーで巻き取りながら、ログウッドから抽出した染液にくぐらせていく。巻き取り終わったら逆回転させ、再びローラーで巻き取りながら染液にくぐらせる。生地を引っ張りながら染色を行うために、揉み込むような染色方法では得られない、ツヤと光沢が表現される。黒は決して単色ではなく、光の反射によって、多彩な色を放つ黒となる。
Anthurium
熱帯アメリカから西インド諸島にまで分布するアンスリウムには花びらのように蕾を包み込む、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる赤い葉があり、その赤は、淡くも鮮やかなピンクに生地を染める。肉厚で密度の高いコットン生地の質感を損なわずにスウェットを染めるためには、パドル染色と呼ばれる方法が最適だった。東京・小石川には、およそ110年間パドル染色と呼ばれる技術を伝える染工場があり、まるでスウェットが染液の中を泳ぐようにして染められていく。機械に直接当たることなく、また生地が擦れ合わずに染められるために、質感は保たれたまま。まるで生地から染めたように、縫製箇所にさえ、色むらがない。そして、乾燥機を使わずに自然乾燥させるために、肉厚なコットン生地でありながらも上質さを担保している。