VOL.16 | SILK_01
2023.08.16
今回は、2023FWから新たに展開となったエイトンオリジナル素材の『ニドムシルク』より、絹(シルク)の織布を行われている、群馬県桐生市の絹織物や工場についてお話しします。
群馬県桐生市は、江戸時代から「西の西陣(京都)、東の桐生(群馬)」と言われています。絹(シルク)産業の歴史は古く、8世紀中頃に貢納された絹が正倉院に残されており、シルクを中心とした高級織物産地として栄えてきました。
昔は着物や帯、大正・昭和時代からはネクタイの生産が多く、その柄などを織る専門のジャガード織機が手織りから機械に変化して稼働しています。
現在のジャガード織機は、パイプオルガンのように縦に長く、上下のフロアを使い、上のフロアからオレンジのテグスが垂れ、綾取りの様に3枚の「※綜絖(そうこう)」と呼ばれる部品を動かし、下のフロアにある織機を上のフロアから指揮しています。
※綜絖(そうこう)とは
織機の一部品で、緯 (よこ) 糸を通す杼 (ひ) 道をつくるために経 (たて) 糸を上下に運動させる用具です。
その指揮している機械の頭脳は、最新のプログラムではなく、18世紀フランスの発明家による厚紙に穴を開けたパンチカードを使用しています。
80年代の初期のパーソナルコンピューターに似たライトブラウン色の機械が、パンチカードの情報を読みとり、穴の有無に従って上下する金属針とシャフトを連動し、個別に上下させています。穴が有る場合は、経糸だけを引き上げながら、ゆっくり丁寧にシルクを織ります。
80年代の初期のパーソナルコンピューターに似たライトブラウン色の機械が、パンチカードの情報を読みとり、穴の有無に従って上下する金属針とシャフトを連動し、個別に上下させています。穴が有る場合は、経糸だけを引き上げながら、ゆっくり丁寧にシルクを織ります。
その後、織上がった生地(反物)に織りむら・傷や、糸染めむらなどを確認する最終工程に入ります。
その工程は、生地を丁寧にゆっくり動かし、目視と手で触りながら検反歴50年以上の薗田氏により行われています。
この工場で織られたシルク生地は、全て薗田氏により検反され、クリアした生地のみ出荷されます。
機械による高速な検反が普及する現在、当機屋は人の目と手で美しい桐生の高級絹織物を守っているのです。
この桐生で織られたシルクを、京都の染工所にて加工した『NIDOM SILK(ニドムシルク)』を展開しています。シルクのドレープ感を活かしながら、ドレッシー過ぎる光沢を抑えるために、長年京都で研究していた新技術にてヌバック加工を施しました。程よい光沢と身体の動きに伴い美しい生地の動きが、佇まいを美しくしてくれます。