ATON JOURNAL VOL.7 | 21/SS NATURAL DYE

2021.03.02



2021SSATONは、グレーの豊かなグラデーションの中に、美しいピンクのアイテムが点在しています。まるで、今年の春に日の目を浴びることなく散っていった花たちを慰めるようなカラーパレットです。

長年こだわりのストレッチ素材を共に開発しているイタリアの生地メーカーと、なんとも柔らかく軽い独特の質感をもつトップグレーのストレッチ素材を開発していた際に、「原色日本の美術」という書物をふと手にしました。そのなかにある水墨画を眺めていると、色褪せた紙の色がそれぞれの水墨画をより味わい深いものに昇華させる経年変化の美しさに強くインスパイアされ、様々なトーンのグレーでコレクションを構成しました。

挿し色には「原色日本の美術」の初刷りの装丁に使われていた青を琉球藍で染め、蘇芳色という深みのある赤は蘇芳という植物から抽出された染料をATONCOLORのボタニカル染めで再現しました。






蘇芳(スオウ) / Sappan wood
マメ科スオウの樹皮や心材などを染料として染めた暗いみの赤のこと。スオウはインド、マレー半島が原産地。襲かさねの色目の名でもあり、表は薄い茶色、裏は濃い赤など。
『延喜式(えんぎしき)』にも記述がある伝統色名で、平安貴族に愛用され高貴な色であったが、後世には紫染の代用となるなど一般化した。









麻炭/ Cosmic hemp
麻は人類が栽培してきた最も古い植物のひとつで、その歴史は1万年以上とも言われます。古来より強い力があるとされ、神聖なものとして扱われてきました。大豆にも匹敵するほど栄養価が高く、三草(江戸時代に栽培された特に重要な3種の草)のひとつとしても数えられ、お米と並んで主要作物として栽培されてきた麻。麻炭は、麻茎の皮を剥いだ麻殻と呼ばれるものを焼いてつくられます。日本では、カイロや花火、デッサンの画材としても使われている。



竹炭 / Bamboo Charcoal
竹炭とは、竹を炭化させた炭の総称です。竹には殺菌、消臭作用など様々な効能があり、竹細工職人など身近に竹を扱っている人は癌になる人がいないと言われ、笹とともに癌を予防すると言われている。動物が竹林の中で死んでも腐らず、糞をしても匂わないのは、竹との関係が深いからだといわれています。






鬼胡桃 / Juglans mandshurica var. sachalinensis
オニグルミは落葉高木九州から北海道にかけて広く分布。主に山間の川沿いなどでよく見られる。大型の奇数羽状複葉で、特に初夏の開花時期には垂れ下がった雄花序と共によく目立つ。殻が厚めで堅いので、綺麗に取り出すのは容易ではない。味は濃厚で保存性が良い。


 
ログウッド / Logwood
ログウッドは、天然の植物染料の一つ。
メキシコや南米が原産のマメ科の常緑高木。邪気を払う伝えられ、仏衣の染料にも使用され、ナポレオンのコートやイギリス艦隊のネルソン提督のジャケットも染めたといわれている。使用する媒染によって紫やこげ茶、グレーからそれらの色味を含んだ黒っぽい濃色に染めることができます。本黒と呼ばれる色は、酸化クロームで化学変化させて作ります。喪服の染めにも用いられる植物である。




備長炭 / Bincho charcoal
備長炭は木炭の一種で、ウバメガシを材料に備中屋長左衛門が作り販売を始めたことから、その名をとって「備長炭」の名がついたと言われている。







アオバナ / Oboshina
アオバナは、琵琶湖の辺り(草津)のみで栽培されているツユクサの変種で、3.4cm程の青い花弁をもつ植物です。江戸時代から草津の名物として親しまれ、摘み取ったアオバナを絞って青色の液体とし、和紙へ塗布と天日干しを80-90回繰り返し、アオバナ紙が作られてきました。これを友禅染の下絵用染料として、また江戸時代は浮世絵版画の絵具として用いられたことも分かっており、日本を代表する染織文化を支えてきた、いわば「縁の下の力持ち」希少価値の高い植物です。



NATURAL DYE とは

ATONの天然染め「NATURAL DYED (ナチュラルダイ)」の商品は、植物の花、葉、茎、樹皮、果皮、または鉱物から、新しい考えと技術で染料を作成し、媒染剤を使用しない堅牢技術で染色をしています。
その特徴は「化学染料では成し得ない色の奥行き」と、「天然染料とは思えない発色性」、「色落ちのしにくさ」です。

通常、植物から色素を抽出して染める草木染めの場合、その色素を安定させる為に水に溶かした金属と化学反応させて、固着・発色させます。
その金属の液体「媒染剤」が、色がくすんで見えてしまう原因にもなります
媒染剤を使用せず、独自の自然なタイプの糊剤を使用し、従来の草木染めよりも大きな粒子まで吸着させることができるようになりました。
また、ナチュラルダイは植物から抽出した色素に若干の化学染料(約510%)で色素補強をします。これは光に対する堅牢度(強さ)、汗に対する堅牢度を上げる為、植物色素の不安定さを補助する為です。

植物から抽出した色素は人間の目で見える幅以上の色素を含み、私たちの認識する「一色」の中に、200種類もの変化する色素が入っています。
強い色素も弱い色素も光に乱反射することによって奥深い色となり、ひとの心に安心感を与えると考えられています。対して化学染料は均一の大きさの粒子で、均一な光の反射をする為クリアーでフラットに見えます。このナチュラルダイで染めた商品は、植物から抽出した色素によるナチュラルで複雑な反射と化学染料のようにクリアーな反射が混ざり合い、植物の色の持つ力を長い間楽しんでいただける商品になっています。

目には見えない粒子や色、複雑な光の反射がひとの心にどのくらい影響を与えるのか、具体的に数値で表すことはできません。
色は音楽と同じく波長です。音楽もCDやデジタルプレーヤーで聴くクリアーな音源よりも、整理されていないアナログの音の方が心に響いてくるように、より自然に近い状態の色の波が心に作用すると私たちは考えています。

その為に100%天然にこだわるのではなく、安全な状態で染めた自然の色で心が躍る商品になるようにナチュラルダイで染めています。